最近、甘いものがやめられず、ついカップラーメンや菓子パンで食事を済ませてしまう…。
そんな生活を続けていると「疲れやすい」「肌の調子が悪い」などの不調が出ても、更年期のせいだと思い込んでしまうことがあります。
でも、その不調の裏には 体の糖化 や 新型栄養失調 といった現代特有のリスクが隠れているかもしれません。
糖化は「体の焦げつき」と呼ばれ、肌や血管を老化させる要因に。
新型栄養失調は「食べているのに栄養が足りない」状態で、カロリー不足とは違う形で不調をもたらします。
本記事では最新の研究やデータをもとに、糖化と新型栄養失調の仕組みや影響を解説し、今日からできる予防のヒントをご紹介します。
人生100年時代を元気に生きるために、体からのサインを見逃さないことが大切です。
体の糖化とは?更年期世代が注意すべき「体の焦げつき」
糖化(AGEs)の仕組みと老化の関係
糖化とは、余分な糖が体の中でたんぱく質や脂質と結びつき、**AGEs(終末糖化産物)**という物質を作り出す現象です。
AGEsは一度作られると分解されにくく、体にたまりやすい性質を持っています。
糖化が肌・血管・臓器に与えるリスク(研究データ)
研究によると、AGEsの蓄積は肌の弾力低下や黄ぐすみを引き起こし、老化を加速させます(Shin et al., 2023)。
また、血中AGEs濃度が高い人ほど心血管疾患の発症リスクが約1.5倍高いという報告もあり、見た目だけでなく体の内側からも影響を及ぼすことが明らかになっています。
新型栄養失調とは?カロリー不足ではなく栄養不足
従来の栄養失調との違い
従来の栄養失調は「食べ物が足りず、カロリー不足でやせ細る状態」を指します。
一方、現代に増えているのは 新型栄養失調。
これは「カロリーは足りているのに、ビタミン・ミネラル・たんぱく質など大事な栄養素が不足している状態」を意味します。

更年期世代に不足しやすい栄養素
特に更年期世代では、鉄・カルシウム・ビタミンDといった栄養素の不足が目立ちます。
これらは骨や血液、免疫力に直結するため、不足すると疲れやすさや骨粗鬆症リスクの増加につながります。
日本人に多い隠れ栄養不足の実態(調査データ)
日本の若年層を対象にした調査では、ビタミンA・C・鉄が推奨量に達していない人の割合が30〜40%以上にのぼると報告されています(Kobayashi et al., 2023)。
全国規模の食事調査でも、多くの栄養素が基準値未満という結果が出ており(MDPI, 2023)、見た目は普通体型でも実は栄養不足に陥っている人が少なくないのです。
糖化と新型栄養失調の関係|更年期不調との見分け方
栄養不足が糖代謝を乱し糖化を進める仕組み
糖を効率的にエネルギーへ変えるには、ビタミンB群やマグネシウム、亜鉛などの栄養素が必要です。
これらが不足すると代謝酵素が働きにくくなり、血糖コントロールが乱れやすくなります。
結果として糖化が進行しやすくなるのです。
AGEsと生活習慣病リスクの研究結果
血中AGEs濃度が高い人は、糖尿病や心血管疾患リスクが上昇するという研究も複数存在します。
更年期世代はホルモンの影響で代謝が落ちやすく、糖化と栄養不足が同時に進行するリスクが高まります。
更年期症状との違いを知り、体のサインを見逃さない
ホットフラッシュや気分の落ち込みなど更年期の典型的な症状に加え、疲れや肌の衰えが強い場合は「糖化や栄養不足」も背景にあるかもしれません。
年齢のせいにして流すのではなく、食生活を振り返ることが大切です。
研究が示す糖化・新型栄養失調の予防法
糖化を防ぐ食事(低GI食品・抗酸化物質)
白米やパンよりも玄米や全粒粉を選ぶ、食事の最初に野菜を食べるなど血糖値の急上昇を防ぐ工夫が有効です。
また、ビタミンCやポリフェノールといった抗酸化物質はAGEsの生成を抑える働きがあると報告されています(Frontiers, 2023)。
新型栄養失調を防ぐ工夫(食事の多様性・タンパク質補給)
研究では、食材の多様性が栄養充足率を高めることが示されています(Kimura et al., 2024)。
かつては「1日30品目を食べましょう」という目標がありましたが、今は廃止されています。
大切なのは数ではなく質。
主食・主菜・副菜をそろえ、栄養バランスを意識した食事を心がけることが推奨されています。
更年期世代でも無理なく続けられる小さな習慣
- 甘い物は“毎日”ではなく“ご褒美”にする
- カップラーメンには卵や野菜を追加する
- コンビニならサラダやヨーグルトを一品足す
完璧を目指さず「ちょっと工夫する」ことから始めるのが長続きの秘訣です。

まとめ|人生100年時代、更年期から始める健康習慣
お菓子やジャンクフード、カップラーメン。
誰にとっても身近で魅力的な食べ物が、実は「糖化」や「新型栄養失調」を招く原因かもしれません。
特に更年期世代は、不調を年齢のせいだと思い見逃しやすい時期。
でも研究は「生活習慣の工夫で改善できる」ことを示しています。
- 糖化は食べ方の工夫で防げる
- 新型栄養失調は食材の質と多様性で改善できる
- 今日からの小さな一歩が未来の自分を守る
人生100年時代。
今からでも遅くありません。
更年期から始める体のケアが、健康で長く生きるための大切な土台になるのです。
参考文献
- Shin JW, et al. Skin aging from mechanisms to interventions. Int J Mol Sci. 2023. (皮膚老化のメカニズムと介入方法についての研究)
- Kobayashi S, et al. Trends in Dietary Micronutrient Adequacy in Japanese Young Adults. Nutrients. 2023. (日本の若年層における微量栄養素摂取の傾向を調査した研究)
- MDPI. A Nationwide Study Based on 8-Day Dietary Records in Japanese Individuals Aged 1–79 Years. Nutrients. 2023. (日本全国の1〜79歳を対象に8日間の食事記録をもとにした栄養調査)
- Kimura Y, et al. Dietary Variety and Nutrient Intake among Japanese Adults. Nutrients. 2024. (日本人成人における食事の多様性と栄養素摂取の関連を示した研究)
- Frontiers in Physiology. Approaches in Line with Human Physiology to Prevent Skin Aging. Front Physiol. 2023. (皮膚の老化を防ぐための食事・生活習慣のアプローチに関する研究)


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